1982年に Wilson と Kelling が発表した論考です。建物の窓が1枚割れたまま放置されると、次々に割られる。落書きやごみの放置も同じで、小さな無秩序が「ここは誰も見ていない」という合図になり、より重い行為を呼び込む、と説明します。
この理論は、日常活動理論の3つ目(見ている人がいないこと)を、物理的な景色の話に翻訳したものと読めます。実際に見張っている必要はなく、**見られている感じがするかどうか**が効く、という主張です。
★注意が必要な理論でもあります。ニューヨーク市の治安改善の説明としてよく引かれますが、同時期に人口構成・経済・警察の人員も動いており、どれがどれだけ効いたかは今も決着していません。また、軽微な違反の取り締まりを強めた運用が特定の層に偏ったという批判が繰り返し出ています。
「小さな乱れを放っておくと大きくなる」という部分は日常の設計に使えますが、「だから軽微な違反を厳しく取り締まればよい」という結論は、この論考が示した以上のことを言っています。